転職前の会社では会社が経営している施設に所属し、利用児童への心理検査やセラピーを行っていました。私が所属していた施設は重度心身障害児を対象にしており、食事介助やおむつ替えなどを行いつつ、傍らで重度心身障害児に対し、児童の動作がどこまで可能なのかということも心理検査と称して行っておりました。機能的な訓練を行うことは心理の中ではよくある話です。もう一つは児童がどのような性格、特性をもっており、今後どのように接することで伸ばしてあげられるのかを考える意味も含めプレイセラピーという、遊びをもちいたセラピーを行っていました。

私が所属していた施設は良くも悪くもアットホームであり、上下関係が厳しくないという利点がありましたが、出来ることが少ない職種の人には風当たりが強い所がありました。重度心身障害児には医療行為が必要なことがあるため、看護師も在籍していたのですが、私が過ごしていた施設では看護師の意見が一番強く、看護師が医療行為を必要とする児童にはなかなか心理の仕事をさせてもらえないことがありました。一日計画というのが利用児童一人ずつ割り当てられており、その計画の中に心理検査やプレイセラピーを組み込んでほしいと上司に頼みましたが、上司は重度障害児はいつ何があって急に帰ることになったり休憩が必要だったりすることが多々あるため、一日計画には組み込めないと言っており、叶いませんでした。

もう一つ、私は心理士として入社したにも関わらず介護の仕事を優先的に覚えさせられ、心理士としての仕事を他の職員があまりイメージできていなかったこともあり、心理の事よりも介護の方が大事といった空気感でもありました。特に会社側が心理の業務を本格的に始動したばかりというのもあり、他の職員からの理解もあまり得られていませんでした。看護師の方はもちろん、介護士の方々からなんとなく特に何かできるわけじゃない人という印象を持たれ、私自身も働いている中で「私って、介護士になるために入社したんだっけ」と思うこともしばしばあり、最初の方でも書いた通り出来ることの少ない人には風当たりが強く、「どうしてこんなこともわからないの」と専門外の事を頭ごなしに責められることも少なく、体調を崩してしまいました。通っている病院の主治医から休職を言い渡され、休職期間中にこのままでいいのだろうかと悩み、退職することにしました。

児童に対する心理の仕事は全うしたかったと考えています。今は他の心理士に引き継がれたと思いますが、辞めるか悩んでいた時、よぎるのは「今うまくプレイセラピー出来ている子たちを見捨てる結果になってしまうのではないか」と思う事でした。

私は、大学院を出て前職を半年でやめているため、新卒・既卒応援窓口にお世話になりました。出身は岡山なのですが、そこでも新卒・既卒応援専用ハローワークがあったため、県によるかもしれませんが、卒業して入社したものの、自分に合っていない気がするという方は既卒を対象にした求人を探すといいかもしれません。今の時代、ハローワークもネットから求人を探すことが可能です。新卒じゃないのに利用していいのか？という疑問がある方は一度ハローワークに電話で尋ねてみるといいかもしれません。卒業して三年以内ぐらいなら対象にしていることが多いです。

私は最初こそは産業カウンセラーになりたくて、企業を対象にセミナーやカウンセリングを行っている事業に２社ほど面接を受けましたが、当時公認心理師の試験に失敗しており資格がありませんでした。やはり、資格がないと雇ってもらうことは難しく、どうしたものかと考えました。そこで、いっそ全然関係ない職種について、仕事をしながら勉強をしようと考え、事務処理を募集していた山本環境整備に応募しました。筆記試験があり、作文用紙一枚分に収まる物で趣味について書きました。その後、面接があり、そこで今後所属する排水課の部長さんと人事の方二人と話をし、好印象を持ってもらうことができ、就職に至りました。

エクセルやワードを使いこなせるスキルがあったため、事務処理で応募しているのなら役に立てるかもしれないと考えたからです。

山本環境整備株式会社では物件の管理会社の下請けで排水管清掃や工事の依頼等を受ける会社です。その中でも私は排水課という排水管清掃の窓口に就任し、産休に入る先輩の業務を引き継ぐことになりました。業務内容としては、排水管清掃予定のマンションへのアポイントと排水管清掃告知の張り紙作成と送付、出来上がった報告書の最終チェックや送付時には作成、提携業者へ清掃予定の物件の情報ファイルの準備と受け渡しが主な業務でした。イレギュラーなもので言えば道路使用許可の書類を作成したり、営業部にお願いをしてアポイントを取ることもありました。

人間関係は非常に良好で、上下関係はしっかりしており、それでいて「新人のうちは慣れないことだらけなので、出来ないことがあっても当たり前」と言ってくれる部署でした。特に、新入社員に対して「ちゃんと育てよう」という意向があり、人間関係としてはとても働きやすい環境だったことです。

入社して、アポイントと張り紙作成を最初に教わりました。アポイントに関してはこちらの会社が前回行った予定を基に今年の予定を立て、それを電話やメール、FAXでお知らせするのですがその通りにできないこともあり中には「改築予定がある」といったことがちらほらあり、物件を把握することがとにかく困難でした。張り紙については、管理会社によって張り紙の送付の期限がバラバラで、把握するのにとても時間を要するし、物件の部屋数だけ告知張り紙を作成する必要があり、物件によっては何百枚という単位で用意しなければならず、それが送付なのか自社から持参する人に預けるのかもまた物件によって違うため、さらに困難を極めました。ファイルの準備もファイルを準備するといっても、ファイルだけを渡せばいいと言う訳でもなく近年の排水管の様子等が書かれた書類と伝票を物件ごとのファイルに挟んで渡したりと一つの業務に対してとにかく時間を要することが多かったです。
ですが、新入社員に対してのフォローは篤く、自分ではどうしようもない所は先輩や上司が変わってくれたり、負担を減らしていこうという動きがありました。

清掃業者の方が取りに来るとき「わかりやすくしてくれてありがとう」等の声を頂くと、嬉しいと感じていました。また、入社後三か月目では排水管清掃の日程調節の電話受付をしていましたが、相手の予定とこちらの予定をすり合わせて上手く予定日が決められると「ありがとうございます」と言ってもらえることも嬉しかったです。社内でも、「すごく助かります」と言われることがあり、私は役に立てているんだなと感じました。

結論から言うと、失敗でした。

私は知らないうちにかなり無理をしていました。前職では怒られることはあれど、褒められることは滅多になく、本当にしたいことができないと感じ、今日も怒られる、明日もきっと、と後ろ向きに考える癖がついてしまいました。そうなると体調もどんどん悪くなり、起きれない日もあり、常に何かにおびえて過ごさねばならなくなりました。私自身、自分に厳しい所があり、出来ない事を自分で執拗に責める癖がありました。本当の評価を受け取れず、「でもあれが出来ていない」「これができていない」ばかりで、それについて責められるのがとても怖かったです。そもそもの話、転職後の会社には一か月のうち二回ほど土曜日出勤があり、多忙に多忙を極め、出勤形態が自分に合っていないと感じました。こればかりはハローワークでちゃんと情報を見ておくべきでした。結局、体調をとことん崩してしまい、この会社に迷惑をかけてしまうと感じ、退職することになりました。

どんな仕事にも言えますが、自分が出来たと思うこと、出来ていることについては自分でしっかり認めて褒めることです。転職の結果は失敗だったけれども、楽しかったとは言えます。周りが認めてくれることを、社交辞令だなどと決めつけないほうが良いです。相手の本心がどうであれ、発せられた言葉が良いものかどうかを決めるのは自分自身です。
また、私と同じく物件を対象にした会社はかなりの物件数を対象にしているので、いちいち覚えることが不可能です。その会社によって管理の仕方は様々ですが、私と同じ仕事内容だとすればかなり余力があり、他部署から厳しい口調で何かを言われても「忙しいんだな」ぐらいで聞き流せるスキルが必要です。これについては人によって向き不向きがありますので、常に忙しい会社ですので、余裕がない時人はどうしても口調が強くなったりします。どこの会社でもよくある話で当たり前の事だと思われるかもしれませんが、自分自身の心の調節をするのは自分です。うまいかわし方を身に着けることが出来れば、業務もやりがいがあるので疲れることはあっても、達成感はあります。

転職する際は勤務形態が本当に自分に合っているかどうかを情報をみて、探すことをお勧めします。面接の際、質問はきちんと決めておくこと、自分自身の能力を見つめなおすことも必要ですが、本当にやりたいことができる会社なのかを見極める必要があります。